寺院・霊園・墓地専門 経営法務コンサルタント 

質問コーナー

FAQ1


寺院様・霊園様からの質問


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Q 墓地の承継者が行方不明でどうしていいかわからない
A たいていの墓地は、途中で承継者が途切れ、無縁墓地になるのがさだめと言えるのではないでしょうか。 無縁墓地については、昔よりの慣習で、整理され合葬するのが通常といえます。最近の霊園等では、墓地規則が整備され、後継ぎが途切れた場合について規定されていることが多く、それに従って処理すれば問題ないものと思われます。 しかし、地方の古いお寺などでは、墓地規則を定めていない場合も多く、その場合にどうすればいいのか、ご質問を受けることがあります。お寺の墓地に関しては、長年月にわたり、墓地が無縁になった場合の慣習があり、墓地規則がなくても、それにしたがって合葬墓へ納めかえすることは問題ないでしょう。

ただし、法律上知っておくべきことがあります。
  
@墓地使用権を解除しなければならないこと

墓地については、墓地経営者と墓地使用権者との間に契約があります。(これは契約書があるとかないとかの問題ではなく…使用者には、契約上、墓地を使用する権利があります)その契約(権利)解除、消滅させなければなりません。最近のお寺や霊園には、墓地使用規則があり、権利消滅の規定がありますのでそれにしたがって処理すればよいことになります。規則等がない場合でも慣習に従って、一定の公告等を行えば、墓地使用権を消滅させることは可能です。


A行政上の手続きとして無縁改葬手続きを必要とすること

また墓地使用権を消滅させるだけで終わりではなく、行政上の手続きを経ることが必要となります。具体的には墓埋法施行規則第3条で定められた改葬手続きを必要とします。




Q お墓の使用者の住所が不明になっていて、管理費の請求ができません。どうしたらよいのでしょうか?
A 専門家に現住所調査と管理費請求書の作成を依頼し、請求を代行してもらうのがよいでしょう。 専門家(行政書士又は弁護士)は、契約書等の文書を作成する目的があれば、請求先を調査することができます。(家族以外の一般人には原則できません)当事務所では、独自のノウハウにより、転居先や推定承継者をつきとめ、管理費請求を行います




Q お寺の墓地が、道路拡張のため用地買収されることなりました。お寺として何をすればよいのでしょうか
A 時として、墓地が公の道路計画にひっかかることがあります。その時になって、どう対処すべきか悩まれる方もいらっしゃるかと思います。
まず、宗教法人法第23条(財産処分等の公告)の手続きが必要となります。用地買収とは言え、不動産の処分にあたりますから、少なくとも1ヵ月前には信者その他利害関係人に対し公告義務があります。
また、墓地の移動には改葬の許可手続きが必要となりますので、当然使用権者の同意が必要となります。
つまり、墓地の改葬許可申請は、使用権者の名義で行うことになりますので、無視はできないということです。もっとも、公共のため、必要があって墓地を整理するような場合には、墓地使用権者にはこれに承諾する義務があるとの判例がありますので、それが一つの説明材料になります。また、墓地使用権者が不明となっている場合には、無縁墓地としての許可申請をすることによって、改葬することができます。

しかし、公共の目的があっても、納得できない人もあろうかと思います。そのような場合、代替墓地や代償について考慮する必要があるのは言うまでもありません。
そしてお寺全体としても、墓地経営許可を受けた面積が減ることになりますので、新たな土地に墓地がつくれるよう、許可の面で役所と交渉することも必要だと考えます。




Q 埋葬許可証のないお骨を受け入れることはできますか?
A 結論から申し上げて、改葬許可証のないお骨を埋葬することはできません。これは寺院であっても民間霊園であっても同様です。墓地、埋葬等に関する法律第14条に墓地の管理者は埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない…とあります。

さて、その場合、どうしたらよいのでしょうか?
これは寺院側の話ではありませんが…埋葬を希望するご家族その他に埋葬許可証の再発行申請をしてもらうことです。まず、火葬した火葬場で「火葬証明書」を発行してもらいます。それを市町村役場に提出すると埋葬許可証を発行してくれます。また、どこの火葬場で火葬したかわからない場合は、遺骨を安置してある現住所の市町村役場へ、再発行のため調査を依頼する必要があります。その際、死亡者の除籍謄本と認印が必要となります。



Q 墓地をお寺の借入れの担保とするには、どのような手続きが必要ですか?
A 一般の土地とは違って、お寺の土地を処分したり、抵当権を設定したりするには制約があります。しかし、一定の手続きを経れば、できないわけではありません。
まず、宗教法人の財産を処分するには法人の規則に従って、責任役員会を開催し、その決議が必要となります。次に宗教法人法第23条に定められてあるとおり、信者その他利害関係人にその旨を公告しなければならないことになっています。